上野動物園でパンダの赤ちゃんのシャンシャン(香香)が誕生し、日本中が時ならぬパンダブームに湧いています。今回の赤ちゃんパンダの誕生が東京都内に与える経済効果は、年間200億を超えるとも予想されています。

上野動物園にパンダの赤ちゃんシャンシャン誕生!経済効果は年間約267億円

上野動物園に赤ちゃんパンダが誕生したのは、2017年6月12日。お母さんは2008年に来日したシンシンで、シンシンが出産したのは実に5年ぶりだとか。5年前の出産時には、生後7日で赤ちゃんが死亡してしまうという悲しい事態となったため、今回の赤ちゃん誕生のニュースは日本中のパンダファンに明るい笑顔をもたらしました。

本記事の執筆時点(2017年10月)で赤ちゃんパンダのシャンシャンは既に生後120日を迎えており、元気ですくすく成長しているようです。特徴的な白黒の毛皮が生えそろってすっかり「パンダらしく」なり、愛くるしい姿を映した動画がインターネット上でも公開されています。

今回の赤ちゃんパンダ誕生は日本中に明るいニュースをもたらしましたが、このニュースが動物園を取り巻く上野界隈に与える経済的な影響も相当なものです。

関西大学の宮本勝浩名誉教授は、このパンダの赤ちゃんが東京都内にもたらす経済効果は年間約267億円にのぼるとの予想を発表しました。この数字は、楽天イーグルスがパ・リーグの初制覇を果たした際に宮城県に与えた経済効果(230億円)を大幅に上回るもので、改めてパンダ人気の根強さに驚かされます。

歴代パンダの経済効果は?パンダブームをたどる

大衆を惹きつける事だけが取り柄の人や事物を皮肉って「客寄せパンダ」という慣用表現を用いることがありますが、このような言葉が生まれるのも、それだけパンダに高い集客力があるという証拠だといえるでしょう。

ランランとカンカンブームで来園者数が2倍に

日本におけるパンダブームの幕開けは、1972年のランラン・カンカン来日時にさかのぼります。ランランとカンカンは日中国交正常化を記念して中国から贈られたジャイアントパンダで、このときは珍しいパンダを一目見ようと、日本中から上野動物園に観覧客が押し寄せました。一般公開が開始されると入園者の長蛇の列ができ、列に並ぶ徹夜組まで出る騒ぎだったといいます。

この来日ブームにより上野動物園の来園者数は平時の約2倍に跳ね上がったそうですが、これは今回の予測である1.5倍を大きく上回る数字です。「日本初パンダ公開」のインパクトはそれだけ大きかったということでしょう。

ホアンホアン来日とトントン誕生ブーム

続く1980年には、新しいパンダ、ホアンホアンの来日で再びブームが起こりました。また、その6年後には赤ちゃんパンダのトントンが誕生し、このときはパンダ金貨が発売される大きなブームとなったようです。

リーリーとシンシン来日ブームで、200億円以上の経済効果

その後、2008年にリンリンが亡くなって以来、しばらく上野動物園からパンダの姿が消えましたが、2011年にリーリーとシンシンが来日し、パンダ復活によるブームが巻き起りました。当時の新聞記事によると、この際の経済効果は200億円以上とも予測されたました。地元のデパートがこぞってパンダを歓迎するアドバルーンを上げ、パンダにちなんだ商品が多数発売されました。また、三井ガーデンホテルでは来客者にパンダの携帯電話クリーナーをプレゼントするなど、パンダにちなんだ販促企画も多数立ち上げられたようです。

上野動物園からパンダが消えたことで当時、年間2000億円程度と低迷していた地元商店街の売り上げも、リーリーとシンシンの来日により大幅に回復するであろうという明るい予想が立てられました。

シャンシャンは2017年12月に一般公開、経済効果が注目される

以上、この記事では2017年の赤ちゃんパンダのシャンシャン誕生によるブームを起点として、過去のパンダブームを俯瞰してみました。サラリーマンの生涯賃金が2億7千万程度といわれる昨今、たった一頭の赤ちゃんの誕生だけで267億円もの経済効果を生み出すパンダには頭が下がるばかりです。

今回生まれたシャンシャンは、2017年12月中旬に一般公開開始が予定されているとのことです。愛くるしい赤ちゃんパンダが予想を超える経済効果を生み出し、上野を皮切りに日本に元気を運んでくれることを期待したいですね。

なお、本記事の執筆にあたって、過去記事の検索には「G-Search新聞・雑誌記事横断検索」を利用しました。
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