本記事は、2010年1月8日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。
年末年始もあっという間に過ぎ、いつの間にか2010年になってしまった。
年齢を重ねると、時間の体感速度が徐々に早まっている気がする。
2009年は私にとって過去最速タイムで過ぎ去っていった。
勝手な自論だが、たとえば5歳の子供にとっては、1年は5年の生涯のうちの1/5であるが、30歳の大人にとっては、1年は30年の生涯のうちの1/30である。
そんな理屈で自分を納得させたところで、いまさらながら2009年を振り返ってみよう。
●2009年の「新語・流行語大賞」
年末にかけて、様々なテレビで2009年のダイジェスト番組が放送されていたが、今回は毎年発表されるユーキャンの「新語・流行語大賞」に注目してみた。
ちなみに、2009年のトップテンは以下の単語であった。
・年間大賞
「政権交代」
・トップテン
「こども店長」
「事業仕分け」
「新型インフルエンザ」
「草食男子」
「脱官僚」
「派遣切り」
「ファストファッション」
「ぼやき」
「歴女」
いったいどれだけこれらの単語が世間で使われていたのか、G-Searchの「新聞・雑誌記事横断検索」を使って調べてみよう。
まずは「政権交代」
こちらは一般的な時事用語であり、新語ではないため、大賞決定に賛否両論があるようだ。
検索してみたところ、やはり126,572件という膨大な数の記事がヒットした。
ヒットした中で一番古い記事は、朝日新聞1984年8月15日付フィリピンのマルコス政権に関する記事であった。
ちなみに、G-Search「新聞・雑誌記事横断検索」に収録されている記事は、各新聞紙によって異なるが、一番収録期間が長いものが朝日新聞であり、1984年8月以降の記事が検索できるようになっている。
おそらくは、それ以前の記事にも「政権交代」という単語は使われていると思われるので、今回は次の単語に話題を移してみたい。
「こども店長」
ぐっとヒット件数が減って、新聞記事ででてきたのは187件であった。一番最初にこの単語がでてきた記事は、河北新報1999年7月27日付仙台の「わわわまつり」に
関する記事であった。内容はとしては、フリーマーケットの開催で子供が店長をしていますという内容で、加藤清史郞くんとは一切関係ない。『こども店 AND 清史郎』で検索したところ、155件であった。
「事業仕分け」
ヒット件数は13,064件である。やはりニュースで度々取り上げられた影響であろう。
一番最初の記事は、毎日新聞長崎版2001年12月25日付長崎県金子原二郎知事の会見内容についての記事だ。「優先事業仕分けを」というタイトルで、「事務事業の見直しを含め政策評価を徹底させ、優先する事業とそうでないものの仕分けを厳しくする」と語っている記事であった。現在の「事業仕分け」のイメージに近い、使われ方である。
「新型インフルエンザ」
ヒット件数は944,402件で、事業仕分けを超える頻度である。ちなみに、以前の呼称である「豚インフルエンザ」でも6,790件の記事がヒットした。
一番最初にこの単語がでた記事は、読売新聞東京夕刊1997年11月10日付感染症に関する特集記事であった。
この記事の一文に「厚生省は先月、近い将来出現が予測される新型インフルエンザの対応策を示した報告書を作成した。」とある。
現在の「新型インフルエンザ」と意味合いは異なるが、将来出現するであろう新型のインフルエンザを危惧している内容であった。
「草食男子」
こちらのヒット件数は111件であった。世間の認知度はこの件数よりだいぶ高いと思われるが、あまり新聞記事にはなりにくい単語であったのだろう。
一番最初に取り上げたのは、毎日新聞朝刊2007年7月8日付「平成男子図鑑」に関する書評の記事であった。
この本では、恋愛や性にガツガツせず、人間関係にあまり期待しない「草食男子」と表現している。現在の使われている「草食男子」とほぼ同じだ。おそらくこれが語源であろう。
「脱官僚」
民主党がスローガンとして掲げるこの単語のヒット件数は4,606件である。
驚いたことに、毎日新聞朝刊1989年6月3日付「宇野新内閣・閣僚の横顔」という記事でこの単語が使われていた。
当時の経済企画庁長官に就任した越智通雄氏が、記事中で官僚臭を早く払しょくするのが課題であることを説明するのに「脱官僚臭」と表現されている。
「派遣切り」
こちらは2008年年末から既に話題となっていた単語である。ヒット件数は11,137件。
もっとも古い記事は、東京新聞朝刊1999年2月2日付コソボ自治州紛争に関する記事で、地上軍派遣切り札にコソボ和平をとある。
北大西洋条約機構(NATO)が、地上軍の派遣を切り札に和平交渉を進めようという内容で、本来の意味とはまったく異なる。たまたま単語の並びが揃ってしまっただけであった。
「ファストファッション」
ユニクロなどに代表される単語で、ヒット件数は695件であった。
こちらもはじめて記事中に出現したのはだいぶ早く、繊研新聞1997年6月9日付ニューヨークのダウンタウンではジーンズをはいた人が非常に多いという記事である。
記事中に「マクドナルドのハンバーガーやケンタッキー・フライドチキン同様、アメリカ人にとっては、手ごろなファストフード的な”ファストファッション”になっている。」とある。現在の使われ方に近い表現だ。
「ぼやき」
こちらは一般的な単語なので、12,666件ものヒットがあった。
もっとも古い記事は、朝日新聞1984年8月16日付の記事であったが、ぼやきは野村監督の代名詞であるので、『ぼやき AND 野村監督』で検索してみた。
するとヒット件数は1347件で、最初の記事は日刊スポーツ新聞1991年2月8日付ヤクルト新外国人レイに関する記事であった。
内容としては、当時のヤクルト新外国人選手であるレイ選手が、チームとして外野を守って欲しいのに、本人は二塁を守りたいと発言したことに対して、「それじゃ困るんだよなあ」と野村監督のぼやきは深刻だ。と記載されている。
「歴女」
ようやく最後だ。ヒット件数は523件。
一番最初の記事は、朝日新聞東京朝刊1984年9月17日付記事「ミス・アメリカ1985万引き犯歴女性が準ミス」という見出し記事で、ミス・アメリカ1985に万引き犯歴のある女性が準ミスとなって騒ぎになったという記事であった。
なお、本来の「歴女」とは、歴史好きの女性を指す造語である。
2009年を振り返るという趣旨からは少しずれてしまったが、みなさんのなにげない一言から 2010年の流行語が生まれる可能性もあるのでは?
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
参考
- 新語・流行語大賞
ユーキャン新語流行語大賞サイト