フィンテック(FinTech)という言葉を聞く機会がますます多くなっています。しかし、フィンテックが具体的には何のことかわからない、という人もいることでしょう。今回は、意外と身近なフィンテックについて基礎から解説します。

フィンテックとは?

フィンテック(FinTech)とは、「ファイナンス」と「テクノロジー」をあわせたアメリカ発の造語です。ビッグデータの解析やAI(人工知能)の技術はここ数年でめざましい進歩を遂げましたが、フィンテックはこれらを金融の分野に応用した技術の総称と理解すれば良いでしょう。

最新のテクノロジーというと、特に電子機器を開発するメーカーやそれらを販売する小売業をイメージするかもしれません。しかし、フィンテックはこうした技術を「お金のやりとり」に持ち込むことで、もっとも身近なところから私たちの生活を変えようとしています。

「家計簿」はその代表的な例です。これまでの家計簿といえば、保管したレシートを参照して自分でノートに書き込んでいく、というものでした。これが、現在ではスマートフォンのアプリひとつで、ほとんど自動的に作成されるようになっています。銀行やカード会社との連携により、出入金を自動的に「光熱費」「食費」「ガソリン代」などに分類してくれるのです。これはデータ解析やスマートデバイスとの連携の一例ですが、ほかにもレシートを写真に撮るだけで会計簿に取り込みが可能といった最新技術がお金に関するサービスにフル活用されるようになってきています。

フィンテックをうまく使うと何がいいの?

フィンテックが面白いのは特定の分野ではなく「お金のやりとり」というプロセスに着目しているため、産業としては非常に幅広くサービスが開発されている点です。これらが創出するメリットを具体的な事例から見てきましょう。

カード決済

テクノロジーによってお金のやりとりがより便利に、と聞いて連想しやすいのがカード決済ではないでしょうか。PayPal(アメリカ)はこの分野での先駆的な存在です。オンラインショッピングでは同社を通じて行うことで、カード情報を安全に取り扱うほか、複数のショップからの買い物情報も一元管理できるようになるメリットがあり、全世界で1億5千万人以上のユーザが利用しています。

クレジットカード決済の利便性について、最近注目を集めているのがスマートフォンとの連携です。ここでは、現金を持たなくても実際の店舗で買い物ができることが利用者にとってのメリットになります。日本ではスマートフォンの登場以前から携帯電話による支払いサービスが存在していたため、今後も拡大する下地が十分あるといえるでしょう。

クラウドファンディング

新しいビジネスを始めるとき、これまでは銀行におもむき事業内容を説明して融資を認めてもらうことがスタートでしたが、現在ではインターネット上で融資や寄付を募るサービスが登場しています。クラウドファンディングと呼ばれるこのサービスは、不特定多数からお金を集めることで、プロジェクトの実現やベンチャー企業の支援などに活用されています。メリットとしては、募集側はアイデアや事業モデルを気に入った多くの個人(=ファン)から広く融資を募ることができ、応募側としても個人が支出可能な少額からの提供が可能なことです。

企業向け会計ツール

先に個人の支出を管理する家計簿を紹介していますが、これをビジネスにも応用したサービスが提供されています。ポイントは個人の家計簿と同様に、銀行口座を登録すれば帳簿が自動でつけられること。特に企業の会計では仕訳を正しく行うことが必須要件ですが、これも自動的に処理されるため、初心者であっても業務を正しく遂行することが可能になり、経理業務の大幅な負担削減・人員の効率化に貢献します。

ツール上で作成した請求書がそのまま売掛金管理に紐づくところなども、便利なサービスだといえるでしょう。

世界規模で急拡大を続けるフィンテック市場

さて、このように便利なフィンテックですが、最後に少し視点を変えて世界で現在どれぐらいの盛り上がりを見せているのか、流れをおさえておきましょう。

アクセンチュアが公開しているレポートによれば、フィンテックがもっとも盛り上がっているのがこの言葉の発祥地でもあるアメリカです。 2015年のこの分野への投資額は122億ドルに上り、前年から21%も伸長しています。まさにフィンテック最先端の国なのですが、これはアメリカにある意欲的な起業文化とも関係があるといえるでしょう。それに続くのがイギリス(対前年+53%の伸び率で投資額は9.7億ドル)・ドイツ(7.7億ドルで前年からはなんと800%以上の伸び)というヨーロッパの経済大国です。日本は2014年度から20%伸びたものの投資額全体としては6,500万ドルにとどまっており、フィンテック先進国に比べると遅れをとっていることが否めません。同レポートでは、フィンランド・シンガポールといった日本よりも経済規模の小さい国と同等の投資額であることを指摘するとともに、「活性化に向けた環境が整ってきた」としています。消費者にとってより便利なサービスが生み出されるとともに、そうしたサービスが国内だけではなくグローバルに展開されていくことも期待されているのです。

今後も目が離せないフィンテック

英語の略称であるがゆえに日本人には少し理解しづらい言葉ですが、新しい「ファイナンスのテクノロジー」であるフィンテックは個人が日常的に使う分野にも浸透しつつあります。基本的な内容をおさえて、ビジネスでもプライベートでも賢く付き合っていきたいものですね。

G-Searchでもっとサガス

フィンテックですが、近年急激にその話題が増えたと感じます。はたしていつ頃から、話題が大きくなったのでしょうか?新聞や雑誌記事で取り上げはじめられた時期を、G-Searchの新聞・雑誌記事データベースで調べてみました。

新聞・雑誌記事のバックナンバーデータベースで「フィンテック」を検索した結果を、期間別のヒット件数としてまとめると、以下のようなグラフになりました。

2014年は殆ど記事に登場しない「フィンテック」ですが、2015年の3月頃より徐々に取り扱う記事数が増えてきます。この頃から、朝日新聞など全国紙の記事タイトルにフィンテックが登場しはじめた他、大手ビジネス雑誌でも取り上げはじめられています。ただこの時点では、注目のキーワードとして簡単な紹介をされているケースが目立ちます。

新聞や雑誌記事で本格的に取り上げはじめられたのは2015年12月頃になります。大手ビジネス雑誌の特集記事として取り上げられるなど、注目度が急激に増している様子が伺えます。

このように、新聞・雑誌記事のバックナンバーデータベースを使うことで、フィンテックの急激な広がりをとらえることができました。

新聞・雑誌記事のバックナンバーデータベースは「G-Searchデータベースサービス」で利用できるので、お試しください。

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