本記事は、2010年7月9日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。
残すところ、決勝と3位決定戦の2試合を残すのみとなったサッカーW杯。
トータルフットボールのオランダか、無敵艦隊スペインか。どちらが勝っても初優勝。
初のアフリカ大陸での開催となった今大会。開催前は治安の問題などから不安視する声も多かったが、開幕するとそんな心配も吹き飛ぶほどの盛り上がり。
特に、日本代表の快進撃で日本国内でも大いに盛り上がった。そんな時、よく耳にするのが「経済効果」という言葉。
いったい、W杯でいくら儲かるのだろうか?G-Search提供のビジネス雑誌を見た。
なんと!経済効果は1兆円?!
世界最大のスポーツイベント、サッカーW杯。最も大きな恩恵を受けるのは開催国である南アフリカだそうだ。
英国に拠点を置く国際会計事務所のグラント・ソントンによると、南アフリカへの経済効果は総額約1.16兆円となる。
W杯開催決定後のスタジアムの新設・改修、空港の改修や道路・鉄道網の整備などの公共投資により69.5万人の雇用創出が見込まれ、W杯の経済効果は南アフリカのGDPの0.5%にもなるそうだ。
また、世界中から集まる観光客が消費する金額も大きい。1900億円近くになると推測されている。
特集 スポーツビジネス徹底解明--経済効果は1兆円を超える!--W杯ビジネスの全貌 サッカーは金を生む
週刊東洋経済 第6260号 2010.5.15
国際サッカー連盟(FIFA)も莫大な収益を得る。前回のドイツ大会では3,000億円近く売り上げたが、今回はそれ以上の金額を稼ぎ出すことが確実だと言われている。
何がそんなに儲かるのだろうか?それはテレビの放映権料が飛躍的に伸びたのが理由だそうだ。
その背景には現在FIFA会長を務める、ジョセフ・ブラッター氏の功績が大きいようだ。
日本のW杯ビジネスは?
FIFAはW杯のマーケティング権(スポンサー権)を日本の企業へ販売する代理店として電通を指名している。
電通がそこまで信頼されているのはなぜか。それはサッカーのビジネスとしての可能性にいち早く目をつけ、実績を積んできたからだ。
1977年に元ブラジル代表であるペレの引退試合をプロデュースし、プロ野球全盛の時代に大成功を収めたことをFIFAが着目したことから始まる。
2002年の日韓W杯で同社は1000億円を超す収入を得た。しかし、日本のスポンサー減少でFIFAとの良好な関係を保持することに課題が見え始めているという。
Jリーグは経営危機クラブ続出、欧州ビッグクラブは?
特集 スポーツビジネス徹底解明--スポーツイベントの黒子役--数百億円を稼ぎ出す 電通のW杯ビジネス
週刊東洋経済 第6260号 2010.5.15
日本代表が決勝トーナメント1回戦で敗れた後、キャプテンの長谷部誠選手がこう言った。
「Jリーグにも足を運んでください」
今、Jリーグは崩壊の危機にあるという。
大分トリニータや東京ヴェルディがスポンサーの撤退などで経営危機に直面している。
さらにJリーグ本体の収益が悪化しているという。それはW杯では莫大な富をFIFAにもたらす放映権がネックになっているからだ。
Jリーグの観客動員が伸びず、テレビ局は大幅に減額を求めると見られており、収入減は免れない状況だ。
特集 スポーツビジネス徹底解明--Jリーグに未来はあるか?--経営危機クラブが続出! Jリーグ崩壊説の真実味
週刊東洋経済 第6260号 2010.5.15
スポーツ&リーダーシップ--日本サッカー協会名誉会長 川淵三郎--サッカー界の重鎮が説く「よき独裁者」のススメ
週刊東洋経済 第6229号 2009.10.24
欧州のビッグクラブはどうだろう。
世界最大の収入を稼ぐクラブはスペインのレアルマドリッド。2位は同じくスペインのFCバルセロナ。
スペインでは放映権はテレビ局とクラブが個別契約することが基本のため、レアルマドリッドとFCバルセロナの2強に放映権料が集中。ますます収入を得ることとなる。
今回のW杯決勝のスペイン代表もバルセロナの選手が多く、「バルセロナ対オランダ」とも言われている。
さらに放映権が高騰しそうだ。
特集 スポーツビジネス徹底解明--世界サッカークラブランキング--レアルとバルサはビジネスでも優等生!?
週刊東洋経済 第6260号 2010.5.15
スポーツ&リーダーシップ--サッカー世界一クラブ成功の立役者 FCバルセロナ元副会長 フェラン・ソリアーノ--名門クラブの危機を救った “渡り鳥”の手腕と手法
週刊東洋経済 第6245号 2010.2.6
W杯を見て、サッカーって面白い!と思った人はぜひ、地元のJリーグチームの試合に足を運んで欲しい。
4年後のW杯のスター選手を見つけるのも面白いはず。