本記事は、2010年5月14日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。
最近の食品、特に飲み物で目にするようになった「糖類ゼロ」や「シュガーレス」「カロリーゼロ」の表示。
紅茶にコーヒー、コーラやサイダーにチューハイまで、種類は様々。
成分表示を良く見てみれば、砂糖がない代わりに「甘味料」の名目で見慣れぬ横文字がたくさん。
たとえば、日本コカコーラ社の「コカ・コーラ ゼロフリー」を見てみると・・・
【原材料名】
カラメル色素、酸味料、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロース)、香料【エネルギー】
0kcal/100ml
砂糖がゼロなはずなのにしっかりと甘い。
そもそも「甘味料」って何が入っているんだろう。
今回は「甘味料」についてG-Searchの新聞・雑誌記事横断検索で調べてみました。
甘味料とは一体何?
甘味料とは、食品に甘味をつける調味料のことです。
「天然甘味料」と「人工甘味料」に大別されます。
「天然甘味料」とは、食品中に含まれる甘味成分を利用したもの。
砂糖や蜂蜜、ブドウ糖などの天然性のものから、天然の材料から人工的に合成されるソルビトール、キシリトールなどが当てはまります。
ふと、「甘味料としては同じなのに、原材料表示だと砂糖とソルビトールは別枠になっているのは何故?」という疑問が湧きましたが、理由は「食品添加物だから」。
それ自身をそのまま加工・調理して食べられるものが「食品」。
食品を作るための味付けや保存目的で意図的に使われるものが「食品添加物」になるそうです。(日本食品添加物協会より)
「人工甘味料」とは、人工的に合成された甘味料のこと、天然には存在しない甘味成分を、人工的に合成しています。代表的なものとして
- アスパルテーム
- アセスルファムカリウム
- スクラロース
が挙げられます。
過去には「チクロ」や「サッカリン」も使用されていましたが、発がん性等の危険性が問題になり、現在では規制されています。
「糖類ゼロ」や「シュガーレス」の意味とは
ダイエットをしている身にはうれしい「糖類ゼロ」や「シュガーレス」。
この表示にもカラクリ・・・もとい表示上の基準があります。
食品にありがちな「○○ゼロ」「○○カット」「○○レス」などの強調表示。
何を基準に「ゼロ」なのか「カット」なのか分からないのは良くないため、国が工業規格を策定しました。
その名は「栄養表示基準」。
栄養表示基準では、強調表示をできる基準値について、以下の通り規格されています(一部抜粋)。
- ◆「無」「ゼロ」「ノン」「フリー」等の含まない旨の表示ができる基準値
-
- 「糖類ゼロ」・・・100ml当たり0.5g未満のもの
- 「カロリーゼロ・ゼロカロリー」・・・100ml当たり5kcal未満のもの。
- ◆「低」「ひかえめ」「少」「ライト」「ダイエット」等の低い旨の表示ができる基準値
-
- 「低糖」・・・100ml当たり2.5g未満のもの
- 「カロリー控えめ」・・・100ml当たり25kcal未満のもの
なるほど、基準値さえ満たしていれば「糖類ゼロ」を名乗れるわけですね。
しかし、仮に糖類0.4g/100mlだとすると500mlペットボトルでは2.0g・・・
いくら「ゼロ」でも油断は禁物ですね。
甘味料の甘さと材料
甘味料にも様々な種類がありますが、天然・人工を問わず、口にする以上少しはその中身を知っておきたいですね。
ちょっとだけ調べてみました。
- <天然甘味料>
-
- キシリトール
甘さ:砂糖と同程度
材料:白樺や樫の木などの髄、トウモロコシからも作られる。
※虫歯になりにくいとされています - エリスリトール
甘さ:砂糖の60~70%
材料:ブドウ糖
※体内で代謝されないため、カロリーゼロとして扱われます
※独特の冷感があります - ソルビトール
甘さ:砂糖の60~70%
材料:ブドウ糖
※虫歯になりにくいとされています
- キシリトール
- <人工甘味料>
-
- アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物
甘さ:砂糖の約200倍
材料:アミノ酸
※フェニルアラニンを代謝できない病気を持つ人のため、上記のような表示がなされます
※虫歯になりにくいとされています - アセスルファムカリウム
甘さ:砂糖の約200倍
材料:酢酸
※人工甘味料独特の後味がないのが特徴ですが、若干の苦味があります - スクラロース
甘さ:砂糖の約600倍
材料:ショ糖
※砂糖に近い味を持ちます
※消化・吸収されないため、カロリーゼロとして扱われます
- アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物
ちなみに人工甘味料は組み合わせることでより砂糖に近い味わいを作ることができるそうです(アスパルテームとアセスルファムKなど)。
このごろ砂糖が使われなくなってきたわけ
近頃、砂糖を使わなかったり、糖類ゼロやシュガーレスをアピールした商品が目立ちます。
砂糖を使わなくなってきた理由として、世界的な砂糖の高騰(途上国の人口増加やサトウキビのバイオ燃料需要)が挙げられるかと思われますが、消費者側も対メタボリックなどの健康志向で、糖分を敬遠する向きがあります。
低カロリー・ノンカロリー甘味料の市場は、年率2ケタ増だとか。
更にはメーカーとしても、砂糖よりもはるかにコストが安くつく人工甘味料は魅力的。
続々と新製品が開発されているのもうなずけます。
とはいえ、砂糖=悪ではありません。
必要なのは何ごとも摂取しすぎないこと。
砂糖・天然甘味料・人工甘味料だけではなく、脂肪・カロリーもろもろ・・・健康のためにはバランスのよい食生活を心がけたいものですね。
参考
- 「強調表示の基準値」
東京都福祉保健局 - 食品衛生の窓
東京都福祉保険局