本記事は、2009年8月14日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

8月11日朝、駿河湾を震源とする地震があり、静岡県の伊豆市をはじめ4市で震度6弱の激しいゆれが観測された。東京でも震度4の地震が観測された地域があった。

今回の地震に対し、気象庁は直前に地震の予想震度を知らせる「緊急地震速報」を発表した。気象庁が緊急地震速報を一般に向けて発表したのは今年が初めて。間に合わないと批判の声も聞く同制度だが、今回は発表から地震が起きるまでに数秒~数十秒程度の余裕があったようだ。

この緊急地震速報、地震が起きる前に地震を予知して特定の機関からお知らせを出しているというというのが筆者の勝手なイメージなのだが、いったいどのような仕組みになっているのだろう。そもそも、地震は予知ができないから昔から預言者などが一部で崇拝されていたような…。G-Searchの『新聞・雑誌記事横断検索』を使って調べてみる。

「緊急地震速報」とは

緊急地震速報とは、地震の発生直後に震源に近い地震計でとらえた観測データを解析して震源や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を予測して可能な限り素早く知らせる地震動の予報・警報だ。

ということは、予知しているわけではないのだ。でもなぜ?地震が起きてから観測して発表ではもう揺れているではないか、と思ってしまうが、仕組みはこうだ。

地震にはP波とS波という二種類の揺れがある。P波は初期微動を伝える縦波で揺れの伝わる速度が早い。S波は主要動を伝える横波で、P波より揺れの伝わる速度が遅い。大きな揺れをもたらすのがこのS波だ。この二つの波は震源地より波紋のように広がるわけだが、速度の違いを利用し、先に伝わるP波の観測データの解析を行って、次に伝わる大きな揺れのS波の情報を知らせるのが緊急地震速報なのだ。

緊急地震速報の限界

緊急地震速報の仕組みは理解できただろうか。ただ、速報には限界があるという。それは、地震の揺れの到達スピードに起因する。

S波(大きな揺れ)は秒速約4キロでその揺れが伝わる。なので、速報を発表してから強い揺れが到達するまでの時間は長い場合でも十数秒~数十秒で、震源に近いところでは速報と揺れが前後してしまう場合もあるのである。また、ごく短時間のデータを使用した速報のため、予測された震度に誤差を伴うこともある。

緊急地震速報を確認したら

緊急地震速報を見聞きしてから地震の強い揺れが来るまでの時間は、数秒から十数秒しかない。その短い間で、どのような身を守る行動をとればよいのだろうか。

気象庁によると、速報を見聞きしたらまずは周囲の状況に応じてあわてずに身の安全を確保することが基本とのこと。では、具体的にどのように安全を確保すればよいのだろうか。一例を紹介する。

家庭内
頭を保護し、丈夫な机などの下に非難する
無理に火を消そうとしない

人がおおぜいいるような施設内
落ち着いて行動し、あわてて出口には走り出さない

自動車運転中
急ブレーキはかけず、緩やかに速度をおとす
大きな揺れを感じたら、道路の左側に停止する

鉄道やバスなどに乗車中
つり革や手すりにしっかりつかまる

エレベーターの中にいるとき
最寄りの階で停止させてすぐに降りる

街中にいるとき
ブロック塀の倒壊や、看板、ガラスの落下に注意する
丈夫なビルのそばであればビル内に非難する

上記いついて、頭ではわかっていても実際にその状況に直面した際は冷静に行動できるだろうか。筆者は正直なところあまり自信がない。日本は地震大国と言われるほど地震が頻繁に発生する国なのだから、自分の身を守るためには日頃の準備や心構えが必要といえるかもしれない。

参考