本記事は、2009年8月20日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

満員の通勤電車からふと眺めた駅のホームで「門外不出のツタンカーメン 上野で公開中:トリノ・エジプト展」の大看板を見つけました。乗り換え駅では「5メートルのファラオ 海のエジプト展」の広告もありました。最近エジプトという文字をよく目にします。その他「吉村作治の新発見!エジプト展」も全国行脚中であり、この夏は鹿児島で開催されているそうです。

8月16日時点で「海のエジプト展」の入場者数は30万人を突破したとか。仮にその6割が大人料金の当日券(2,300円)を購入、4割が子供料金やその他割引チケット等(1,000円前後)を利用したと仮定すると、約5億!「巣ごもり」流行りの昨今ですが、こんなにも人とカネを集めるエジプト展。

一体何がそこまで人を魅了するのでしょうか。歴代ファラオの中でも一番有名であり、「トリノ・エジプト展」のコピーにも登場しているツタンカーメンの魅力をG-Searchの『新聞・雑誌記事横断検索』を使ってを使って探ってみました。

名前は知ってるけど…

少年王、黄金のマスク、黄金の財宝。ミイラの呪い。

ツタンカーメンにまつわるキーワードはたくさんあるが、一体どんな人物だったのでしょうか。

一説によると誕生は紀元前1342年頃(約3300年前!)。日本人が竪穴式住居に住んで縄文式土器を作っていた時代です。父は後に歴史からその名を抹消された異端の王アクエンアテン(諸説あり)、母はその側室と考えられています。10歳頃に即位し、異母姉アンケセナーメンと結婚。王妃アンケセナーメンとの仲は良かったらしく、仲むつまじい二人のレリーフが数多くの財宝に刻まれています。

若くして即位したツタンカーメンは、短い治世ののち19歳頃突然亡くなりました。死亡直前に大腿骨を骨折したことは分かっていますが、それが直接の原因なのか、なぜ骨折したのかは謎に包まれたままです。2005年におこなわれたCTスキャンの結果からも原因は特定できませんでした。謎があることで想像力が刺激されることも魅力のひとつでしょうか。

ちなみにツタンカーメン王妃のアンケセナーメン、ツタンカーメンと結婚する前は実父アクエンアテンと結婚していたとか…。さらにツタンカーメン死後は、祖父の時代から活躍していた神官と再婚。祖父の時代からの神官て!えらい年の差カップルですね。

王墓の呪い

ミイラと呪い。イメージとしては切っても切れない関係です。確かに数千年前に亡くなった人の身体が、腐敗することなく、白骨化することもなく、今なお存在しているなんて、未知の力が働いているような気もします。そんなことが可能なら、数千年のときを経て王墓に踏み込んだ人間を呪うことくらい簡単そうです。

ツタンカーメン王墓は1922年、イギリスの考古学者ハワード・カーターによってほぼ未盗掘の状態で発見されました。発掘のスポンサーだったカーナヴォン卿が、王墓の発見直後に急死しただけでなく、他にも同時期に亡くなった人がいたことから「ミイラの呪い」が面白おかしく喧伝されました。ですがカーナヴォン卿、その前から体調悪かったようです。うーん、呪いではないようです。

仮に呪いが存在したとして、その正体は「カビ」の可能性があるそうです。体調が悪かったところに、普段は遭遇しないような未知の「カビ」がいたとしたら…、そしてそれが有害なものだったら…。

現在のツタンカーメン

本人は王家の谷でケースに入れられて眠っています。色鮮やかな壁画が残る小さな王墓では、黄金の棺とツタンカーメンのミイラが公開されています。王家の谷では約1200円で3つの王墓を見学できるのですが、ツタンカーメン王墓だけは別格です。1ヶ所で2000円の特別扱いを受けています。

それでもなお訪れる人は後を絶たず、換気状態もあまりよくないため、将来非公開となる可能性があるそうです。2007年から一般公開されているツタンカーメン王墓、見学するならお早めに。

財宝の行方

ツタンカーメン王墓で発見された数多くの財宝はエジプトの首都カイロにあるエジプト考古学博物館で目にすることが出来ます。入館料は約1200円。

ご参考までに、財宝の中でも一番有名な黄金のマスクの重量は11Kg。中身は23金程度、表面は18金程度らしいですが、面倒なので純金として考えます。現在の金相場は3,047円/g。金の価格だけでも3350万円。加えて美術的価値、考古学的価値を考慮すると数百兆円だそうです。もはや金の純度なんてどうでもいいです。

黄金のマスクや黄金の玉座などキラキラ輝くものを見るのもいいですが、王妃アンケセナーメンが手向けたと考えられている花束などは、一見質素ですが忘れていた乙女心を思い出させます。価格に換算できない価値を持つ財宝を見られるなら1200円の入館料なんて安いもの。

そうはいっても実際にエジプトへ行くとなると時間もお金もかかってしまいます。まずは近場でエジプト展はいかがでしょうか?今回来日している「ツタンカーメン」はイタリアはトリノ博物館に収蔵されている彫像だそうです。美男と噂のツタンカーメン、彫像でもイケメンかもしれません。