本記事は、2009年2月20日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

だんだん春の足音が近づいてくる2月。花粉症シーズンも幕を開け、よく晴れた風の強い日には憂鬱になる方も多いのではないだろうか。

ところで、この季節に限ったことではなくて、風に乗って飛んでくる憂鬱なものというと、筆者にはもうひとつ気になっているものがある。いわゆる”歩きタバコ”の煙である。

昔に比べるとはるかに減ったとは言え、ルールを守ってくれない人はいるもの。
タバコを楽しむのはいいけれど、歩きタバコで非喫煙者にとって一番気になる副流煙をまき散らすのは遠慮してほしい。

そんなことを考えていたら、”電子タバコ”という言葉を見かけた。何故”電気”じゃなくて”電子”……?とネーミングにも謎を感じつつ、今回はこの”電子タバコ”について、『新聞・雑誌記事横断検索』で調べてみた。

香港発、電子タバコ

電子タバコとは、液体ニコチン入りのカートリッジを本体に取り付け、本体の電熱機能で気化したニコチンを吸う、という仕組みの道具。

煙こそ出ないものの、吸うとLEDで先端が赤く光るギミック付き。見た目もいわゆるタバコ(紙巻きタバコ)から葉巻、パイプまで、様々なタイプが販売されている。

欧米諸国でも開発・販売されているが、先陣を切ったのは香港。2004年頃に発売されたのが最初らしい。

いずれもニコチンが摂取でき、一種の禁煙用品という扱い。禁煙の方法としては、カートリッジのニコチン濃度をだんだん下げていくことでニコチン依存度を下げていく、というやり方。つまりはニコチンガムやパッチでの禁煙方法に近い考え方だ。

電子タバコの問題点

この電子タバコ、ガムやパッチと異なりタバコを吸う気分が味わえる。しかも火もいらず煙も出ない。というといいこと尽くめのように聞こえるが、問題点もある。

まず、”禁煙効果が確認されていない”だけでなく、”使用されている化学物質の中に、毒性の強いものが含まれている可能性がある”という声明がWHOから出ていること(共同通信の2008年9月20日の記事より)。

また、もうひとつの問題点として、体験談を見ていると”おいしくない”という声が多いというのも気になるところだ。

タバコを吸わない筆者には「タバコが美味しい」という感覚がわからないのだが、コーヒーを飲もうとして麦茶を飲んでしまったとき、くらいの違いがあるのかもしれない。

ちなみに、この”ニコチンが吸える”タイプの電子タバコ、日本で販売する場合は薬事法に抵触する可能性があるため、基本的に国内では購入することはできないそうだ。

電子タバコの進化

ニコチンが入っているために販売できないなら、ニコチンではないカートリッジにすればいいのでは……という発想から作られたのかどうかはさだかではないが、日本ではちょっと違ったタイプの電子タバコが販売されている。

どんなものかというと、ある程度の年代の方なら”禁煙パイポ”の電気版といったら解りやすいだろうか。つまりはタバコの代わりに、タバコやメンソールといった味(の気体)を吸うイメージ。

インターネットで調べたところ、現在ではさまざまなものが売られているようだが、例えば「TaEco」や「DigiMoku」「Super Cigarette」といった銘柄があるらしい。

その中で、筆者が気になったのは「TaEco」。
「タバコ」と「エコ」を組み合わせたという商品名もさることながら、目の付けどころが他の電子タバコとちょっと違うようなのだ。

新しい嗜好品として

このTaEco、あまりのリアルさに、禁煙スペースで吸っていると「ここは禁煙ですよ」と注意をされたりもするらしいのだが、次のような特徴がある。

  • ニコチンが入っていない
  • 吸うとLEDで先端が赤くなる(吸う強弱に光も連動)
  • 水蒸気の煙が出る

ここまでは他の電子タバコと同じだが、ここからがすごい。

  • フレーバーの種類がやたらと豊富

タバコ味、タバコ味(濃)、メンソール味なら他の電子タバコにもあるのだが、ダブルミントやバニラ、チョコレート、コーラ、果てはノドアメ味なんてものも。ストロベリーやピーチなど、果物系だけでも7種類。2009年2月現在で17種類にも及んでいる。

フレーバのラインナップの種類、また、他の電子タバコのフレーバーが3~4種類しかないことから見ても、TaEcoは女性向けを意識しているように見える。それがもっとはっきり表れているのがコレだ。

  • DECOTaEco

販売元の公式サイトで、本体にラインストーンやスイーツなどがちりばめられたデコ仕様TaEcoが40種類用意されている。デコ仕様自体、そしてこの種類の豊富さも、他の電子タバコには見られない特徴だ。

口寂しいときの爽やかな味。しかもカロリーゼロで後味も残らない、という、若い女性向けの新たな嗜好品という位置づけ。見ていると、単なる禁煙・節煙グッズとしてではない、新しい嗜好品としての電子タバコの可能性も感じてくるほどだ。

ちなみに、肝心の価格は、2009年2月現在で本体セットが1万5千円(デコ仕様だと2万円前後)。交換用カートリッジが1箱5本入りで1千5百円と、決して安い買い物ではない。

ニコチンが入っていないため、禁煙への効果がどれくらいあるかわからないが、”タバコをやめたいけど、ニコチンガムやパッチでは煙を吸い込む感覚がないから禁煙できない”という人には、これを併用することで禁煙につなげることができるかもしれない。

ちなみに

何故「電気」ではなく「電子」タバコなのか?という最初に感じた疑問の答え。

いろいろ調べていく中で判明した回答は、英名”electoronic cigarettes”の直訳、ということでした(なーんだ……)。

参考