本記事は、2009年6月11日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

6時間8分

これは2000年にあるメーカーが調べた首都圏のビジネスマンの平均睡眠時間である。長いと感じるだろうか。短いと感じるだろうか。

人間は通常眠らないと生きてはいけない。寝不足は脳のバランスを崩し、ホルモンなどの働きを乱すからである。

しかし、新聞記事によると寝過ぎにも注意が必要らしい。

一体最適な睡眠時間とはどれくらいの時間なのか。G-Searchの『新聞・雑誌記事横断検索』を使って調べてみた。

平均睡眠時間の長い県、短い県

総務省が06年10月、10歳以上の約20万人に対して調査をしたところ、昼寝も含む睡眠時間の全国平均は7時間42分。県別で見ると、もっとも長いのが秋田県と山形県の8時間5分。逆にもっとも短いのが神奈川県の7時間31分。県別で見ると30分以上の差があることがわかる。

なお、睡眠時間の長い県には高齢化率が高い県も多い。8時間前後の睡眠時間を取ることが長生きにつながっているということであろうか。

睡眠時間 高齢化率
1位 秋 田 2位
1位 山 形 4位
3位 青 森 20位
4位 岩 手 6位
5位 宮 城 36位
6位 島 根 1位
6位 高 知 3位
  • 睡眠時間は2006年10月、高齢化率は2008年3月時点
  • 高齢化率=人口に対する65歳以上の人の割合

睡眠時間と生活習慣病

新聞記事によれば、これまで睡眠時間が短すぎても長すぎても死亡リスクが高まることが知られているそうだ。

さらに昨年、ある大学の研究チームが睡眠時間の長さと生活習慣病の関連性を発表した。これは、約1万1400人の地方公務員の男性を対象に7年後の肥満発症率と睡眠時間の変化との関連を調べたもの。調査結果は次の通りである。

1年目 7年後 肥満発症率
睡眠時間 5時間以上 5時間以上 1.00
5時間未満 5時間未満 1.36
5時間以上 5時間未満 1.33

肥満発症率のほか、高血糖や脂質異常の高トリグリセライド血症についてもほぼ同様の結果が出ており、生活習慣病の予防には睡眠習慣を含めた保険指導が必要だとしている。

最適な睡眠時間とは?

一方、3年前にはこのような調査結果も出ている。睡眠時間が「7時間以上8時間未満」の人の中で「うつ状態」の人は23・5%で最も低く、5時間未満の人では47・9%、10時間以上の人では50・2%に達した。これにより睡眠時間が7時間台の人の精神状態が最も健康的であり、精神衛生の点から、睡眠時間が長くても短くても好ましくない傾向が明らかになった。

ただし、これはあくまで一般論であり、人によっては短い睡眠時間でも能力を発揮できる人もいれば、逆に10時間以上の長時間睡眠を必要とする人もいる。前者のことを”ショートスリーパー”といい、後者のことを”ロングスリーパー”と呼ぶ。

有名な”ショートスリーパー”にはエジソンやナポレオンがおり、6時間以下の睡眠でも心身の疲労回復が図ることができる。 一方、9時間以上眠らないといけない”ロングスリーパー”の代表にはアインシュタインがいる。両者とも人口の約1%が該当するといわれている。

では、自分にとって十分な睡眠時間とは何時間くらいになるのだろうか。必要な睡眠時間には個人差があり、季節によっても違う。 日照時間が短く夜が長い冬は、一年の中で最も睡眠時間が長くなり、逆に夏は短くなる。

睡眠時間は精神状態によっても変化をする。やる気に満ちて気分が乗っているときは、睡眠時間が短くても問題なく過ごせるが、落ち込んでいるときは長く眠ってストレスを解消しようとする。

自分に必要な睡眠時間のバロメーターは、”日中に元気に活動できているかどうか”が重要である。脳と体が一番活発になる時間帯である10時から12時の間に眠気がなければ質のよい眠りが十分に取れていると言えるらしい。

なお、14時頃に眠くなるのは自然な眠気らしいので、心配しないで昼寝、居眠りするといいそうだ。もちろん”できる人は”だが。

ほとんどの人が睡眠を足りないと思っている

10代~30代の人の58%が睡眠を”足りない”と思っているというデータがある。仕事が忙しい、遊ぶ時間の確保など睡眠時間を犠牲にする要素はたくさんある。

ただし、冒頭に書いたとおり、人間は寝ないと生きてはいけない。フランスの大統領専用機は、当時の大統領の睡眠時間を確保するために2000キロ遠回りしたこともあるという。

人によって時間の使い方は様々だが、たまには他の時間を削って8時間の睡眠を取ってみるのはどうだろうか。

参考