本記事は、2010年3月25日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

不況下のなか、太陽電池市場が拡大を続けている。

シャープや京セラなど、国内の太陽電池事業の大手各社では生産拠点の拡大を進め、2020年には太陽電池市場は、10兆円市場に拡大するとも予測されている。

こうした太陽電池市場の「拡大の要因」「主要なプレイヤー」「抱える課題」とは何か?G-Searchの新聞記事・雑誌横断検索を使って調べてみた。

補助金制度の復活で世界シェアに復活の兆し

太陽電池市場の拡大要因には、昨年末に再開した政府の補助金制度と余剰電力の買取制度がある。

地方自治体による独自の補助制度も合わせると、200万円以上する設置費用が5~7割で済むようになった他、11月には住宅で発電し余った電力を通常の電気料金の2倍で電力会社が買い取る制度が始まり、需要が一気に拡大した。

国内シェア2位の京セラでは、制度が導入された以降の2009年12月の太陽電池の販売台数(住宅向け)は、前年同月の4倍に増えたという。

政府の後押しもあって一気に需要が拡大した太陽電池市場だが、記事によると以前にも同様な補助金制度が実施されていたようだ。

それによると、国内では94年に住宅向け太陽電池の導入補助制度が開始され、それが当時の太陽電池需要拡大の契機になっていたようだ。

太陽電池シェアでは、シャープが世界シェア1位を7年続けるなど、日本が世界的にも主導権を握っていたのだが、2005年にこの補助金制度が打ち切りとなり、日本が太陽電池をリードする流れが止まってしまったのだ。

逆にこの時期に補助金制度や電力買取制度を進めたのが欧州各国。

結果、欧州では太陽電池バブルともいえる活況になり、日本は追い抜かれるばかりか、逆に大きく差をつけられる事となり、世界順位でも6位に落ち込んでしまった。

今回は補助金制度などがあり、ようやくシェア回復の兆しが見えた段階とも言えそうだ。

太陽電池のシェアと各社の発電規模、変換効率、発電方式を調べる

さてその太陽電池だが、国内シェアはどうなっているだろうか?

太陽電池では年間の電力生産数をシェアを測る基準として見ていて、調べてみると次の4社が上位を占めている事がわかった。

 1位:シャープ(年産71万キロワット)
 2位:京セラ (年産60万キロワット)
 3位:三洋電機(年産56.5万キロワット)
 4位:三菱電機(年産27万キロワット)

さらに調べてみると、太陽電池の性能を測る重要なファクタに、太陽光を電力に変える効率(変換効率)があるようだ。

変換効率が高まれば、より沢山の電力を生成できる他、設置スペースや結果としてコスト軽減にも繋がる。普及に向けた大きなファクタとなり、各社が技術開発に注力する理由になる。

その変換効率に係る要素として、各社で採用が異なる発電方式がある。

これは、ビデオで言うところの「VHS」と「β」以上に大きな違いで、変換効率から製造方法、原材料の違いによるコストまで大きく異なるようだ。

今後の業界動向にも影響しかねない内容の各社採用の方式を調べたので、上のシェアと合わせて表にすると以下となる。

順位 社名 年産数 変換効率 発電方式
1位 シャープ 年産71万キロワット 約10% 簿膜系
2位 京セラ 年産60万キロワット 約16.9% 多結晶シリコン系
3位 三洋電機 年産56.5万キロワット 約20% 簿膜系と多結晶シリコンのハイブリッド
4位 三菱電機 年産27万キロワット 約16% 多結晶シリコン

今後の課題とビジネスチャンス

にわかに活気付いた太陽電池市場だが、一方で課題も見られる。

95年~05年に国内で設置された太陽電池257件のうち、設置後10年以内に発電量が大幅に落ち込んで、太陽電池のパネルを交換したケースが34件(約13%)もあるのだ。

補助金があるとはいえ、高価な装置をつける際に故障は不安材料だ。各社は太陽電池やパネルに10年保証を付けているが、太陽電池の普及には、変換効率の向上に加えて、パネルなど装置の耐久性・メンテナンス性も求められそうだ。

一方では、こうした太陽電池の課題を、逆に売りに変え、積極的な顧客ケアをする事で販売数を伸ばす販売店もあり、成長する太陽電池市場の課題は、ビジネスチャンスにも繋がるようだ。

参考