本記事は、2009年12月15日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

東京商工リサーチが8日に発表した全国企業倒産状況によると、11月の倒産件数は1,132件となり、前月比を-10.2%、前年同月比を-11.3%下回った。倒産件数が前年同月比を下回るのはこれで4ヶ月連続となり、倒産件数自体も今年最小となった。

政府の資金繰り支援など景気対策が効果をみせたといい、東京商工リサーチによると、中小企業者等金融円滑化臨時措置法(返済猶予法)の施行を前に「金融機関が返済条件の見直し要請に柔軟に応じた」ことも倒産減少の要因という。

企業倒産は今後も減り続けるのか

では、企業倒産件数の現状と今後の先行きはどんな見通しがあるのだろうか?G-Searchの「新聞・雑誌記事横断検索」を使い、全国紙、各地方紙、専門紙の紙面情報を調べてみた。

「倒産」に関する記事検索を行なうと、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査会社の調査による倒産の増減状況が、月毎・地域毎に紹介されていた。また業界紙では、業界個別の動向について紹介している紙面もあった。

それによると、例えば建設業の倒産状況としては、11月の建設業倒産は前年同月比-14.9%になり、5ヶ月連続で前年同月を下回ったという。これは先の全国企業倒産状況と比べても、さらに良い水準だ。

地区別では、

  • 北海道63.1%減
  • 四国46.6%減
  • 九州43.9%減
  • 中国20.0%減
  • 関東18.7%減
  • 近畿13.6%減

と減少した地域は全て2桁大の大幅減少となった。
一方で、倒産件数が増加した地域もあり

  • 東北75.0%増
  • 中部22.2%増
  • 北陸21.4%増

と増加傾向の幅も大きく地域による状況の違いが見える結果になった。
また今後の先行きについても、信用調査会社のコメントとして掲載されている。

それによると、地域・業種によって状況は違うものも、当面は倒産が急増することはなさそうというコメントが見られる一方で、円高・デフレの影響を受けて、製造業小売を中心に小規模企業では厳しい経営環境が続くという見通しが目立つ。

与信管理の重要性

現在のように販売が落ち込み、取引先の信用面も悪化する状況下では、与信管理の重要性が増してくる。自社の経営が安定していたとしても、取引先の倒産という事態により、債権者(例えば自社)に貸倒れという損害をもたらす事もある。

新聞記事データベースで「与信管理」という見出しが付いた新聞記事の件数推移を調べたところ、リーマンショック以降、急激に「与信管理」記事が増え、危機管理に対する意識が強まった傾向が読み取れる。

※与信管理が見出しに含まれる記事件数(2009年12月14日時点)

 2009年:47件
 2008年:42件
 2007年:13件

ようやく倒産件数が減少傾向になったとはいえ、先行きが見えない状況下では、与信調査は避けることができない。与信調査を行なわず無防備に取引を繰り返せば、共倒れの危険が限りなく高まる事となる。

取引先の倒産による貸倒れの発生は、自社の財務状況を悪化させるばかりではなく、与信管理面での甘さから対外的な信用力までも低下される恐れがある。そうした結果、最悪は自社の倒産という事態を招いてしまうかもしれない。

しかし、企業の成長が新規取引の拡大の連続によって実現される事を考えると、こうしたリスクばかりを恐れていては成長も見込む事ができない。

そこで、企業が成長をする上では、与信管理をしたうえでのリスクマネジメント戦略の確立が重要となってくるのだ。

新しい与信管理の模索

与信管理にあたっては、取引先毎のリスクに応じて、情報を多く収集する、担保の交渉を行う、取引額を見直すなどの具体的対策を取ることで、社内のリスク管理体制は飛躍的に向上するだろう。

リスクモンスター社が提供する与信情報サービス「リスモンG-与信ナビ」では、株式会社東京商工リサーチの有する日本最大級の企業データベースと、総合商社の長年の与信管理ノウハウを活かした独自の審査ロジックにより、倒産実績に基づく格付、推奨与信限度額を提供している。

このサービスを使えば、調査対象の会社を「企業リスク格付け」で評価し、その評価(格付け)に応じて、その会社と取引をしても良いか。また取引する場合、どの金額まで取引が可能か(与信限度額)、といった社内ルールを設ける事ができるのだ。

経済状況などの合わせて与信枠の見直しなど、与信管理はエネルギーを必要とする作業だ。現在の不安定な状況下では、与信管理能力がより厳しく求められると考えられる。

連鎖倒産に巻き込まれない為にも、「リスモンG-与信ナビ」をはじめとした与信調査ツールを利用した、リスクマネージメントの強化に力を入れてみてはどうだろうか。

参考