本記事は、2009年1月13日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

2009年のお正月、皆さまはどのように過ごされたでしょうか。
滅多にない長期休暇を生かし、旅行に出かけられた方も多いかと思われます。

筆者の場合、遠出はせず地元で過ごしましたが、正月は同級生に誘われて近場の鷲宮神社まで初詣に行って来ました。
・・・が、行ってみて大後悔。神社から人が溢れ出し、周辺の住宅まで列が連なってました。

境内に入っても人の波に飲まれそうになるし、肝心の参拝は長蛇の列。絵馬の周りには二重三重の人だかり。新年早々ぐったりして帰ってきました。

後で調べてみたら、昨年30万人の参拝客が今年は42万人(正月三が日計)と大幅増加。
ちなみに一昨年では13万人が30万人と倍増したとか。

ここまで参拝客が急増した原因のは・・・TVアニメ「らき☆すた」。
作品の舞台となった神社ということで、昨年に引き続き今年もファンが殺到して大混雑になったとか。

さて、舞台となった土地にファンが訪れるこの行為、「聖地巡礼」なんて呼ばれているそうです。一体いつ頃から聖地巡礼が行われてきたのか、G-Searchの新聞・雑誌記事横断検索で調べてみました。

そもそも聖地巡礼って何?

本来の意味は「宗教等で重要な意味を持つ、聖なる地に赴く」ということ。
「一生に一度は聖地メッカに巡礼する」と言われてるイスラム教のそれが有名かと思われます。

ところが、最近では「作品の舞台となった場所・土地(聖地)に赴く」という意味が目立つようになってきました(今のインターネット世代にとってはむしろこっちの意味の方が一般的なのかも?)。

作品の対象は小説・映画・ドラマからアニメや漫画まで様々。
ファンにとって思い入れの強い「聖地」に行き、ここであの登場人物がこうしたのか、と思いを馳せたり記念撮影をしたり・・・
「熱心なファン行動」の一つと言えそうですね。

調べてみてわかったのが、、熱心なファンがロケ地などを訪れる”巡礼”という言葉自体はそれほど珍しくなく、以前から使われていたのだとか。

一部のコミュニティで使われていた言葉がインターネットを介して広まり、近年ではサブカルチャー方面、特にマンガ・アニメを指した「聖地巡礼」という言葉に変わりつつあるように思われます。

初めて新聞に登場したのは1994年

新聞横断検索で調べたところ、この「聖地巡礼」という言葉が使われたのは1994年7月30日の朝日新聞。
バイク乗りが集う鈴鹿8時間耐久レースのことを「ライダーたちの聖地巡礼」という言葉で評しています。

次に登場したのが1995年1月1日の北海道新聞。
こちらでは、マンガファンの記者が作品ゆかりの地を訪れる「マンガ巡礼の旅」に出た記事となっています。
巡礼先としては兵庫県の手塚治虫記念館、東京都豊島区のトキワ荘跡、葛飾区の亀有公園前派出所(のモデルとなった交番)などなど。

1999年6月には、美空ひばりさんゆかりの地、横浜に今も絶えずにファンが訪れているという記事が見つかりました。

2003年にはTVアニメの舞台となった長野県大町海ノ口駅に若い男性観光客が急増しているという記事がありました。

以降、年を追うごとにアニメやゲームを元にした聖地巡礼が行われているという記事が増えている印象です。

聖地巡礼をどう活かす?

聖地巡礼を単なる観光客の増加だけに留めず、地域の町おこしをしようとする自治体も現れています。

鷲宮神社の例では、地元の商工会が発端となり、発行元である角川書店と連携しキャラクターグッズを販売。
昨年4月には「らき☆すた特別住民票(300円)」を発売したところ、なんと全国から4000人のファンが殺到したとか。
更には商工会で作品を「勉強」し、企画計画の際にも有志にアドバイスを募るという力の入れようでした。

実際にファンからも「ただブームに乗っかっているだけではなく、作品を好きなのが伝わってくる」と好感触だったとか。

そんな努力と作品に対する「愛」がファンの評価を受け、鷲宮(神社)は居心地の良い場所としてネット上で評判が広まり、更なる巡礼を招く、という好循環が生まれました。

結果、2007年12月から翌年5月までの鷲宮町商工会の経済効果は4170万円、07年度の歳入合計は8000万円前年度比36%増と大躍進。大きな経済効果があったことが分かっています。

こういった鷲宮の成功例を見習おうと、最近は聖地巡礼だけではなく、マンガ・アニメ等を用いて、地域活性化を計ろうとする自治体まで現れてきています。

新しい地域振興のあり方として、聖地巡礼を端としたこれらの町おこしは今後注目される分野かもしれません。

「聖地巡礼」という言葉、Yahoo新語辞書では「オタクツーリズム」という名前が付けられていました。

物語の舞台となった場所で思いを馳せ、そこで同好の仲間に出会う・・・なるほど、史跡などの観光旅行と一部通じるものがありそうです。

自分を含め、インドア派で、普通の観光旅行には興味ないよ、という方。アニメ・マンガに限らず、自分の好きな作品の舞台となった土地(聖地)まで一度、巡礼の旅行に出てみるのも面白いかもしれません。

最後になりましたが、一点気を付けたいのが巡礼先での行動。
訪問先ではマナーを守り、近隣住民の方に迷惑をかけないようにしましょう。
無断での写真撮影や大声での談笑などはやめましょう。記念の落書きなどはもっての他ですよ。

参考