昨年から好景気が続くニューヨーク株式市場で、2018年1月4日にはダウ平均(30種)が初めて2万5,000ドルを突破しました。このアメリカの株高をけん引してきたといわれているのが、Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Googleの5社、いわゆる「FAANG」です。

そして、いま新たに投資家からの注目を集めているのが、Spotify、Lyft、Airbnb、WeWorkの4社で、通称「SLAW」と呼ばれています。

今回は、「SLAW」はそれぞれどのような企業なのか、そして、これらの企業の何に注目が集まっているのかをご紹介します。

そもそもSLAWとは?

ここ数年のアメリカ経済をけん引してきたFAANGはどの企業もすでに日本でもおなじみとなっています。一方、SLAWに目を向けてみると、どれもまだ日本ではなじみのない企業ばかりです。

SLAWの4社のうち2018年1月の時点において日本でサービスを開始しているのは、SpotifyとAirbnbの2社のみです。また残り2社のうちWeWorkは2月にサービス開始予定ですが、Lyftに関してはまだ日本でサービスを開始する予定はないようです。

日本ではまだあまりなじみのないSLAWですが、アメリカを始めとする海外ではすでに多くのユーザーを抱えるサービスです。ここで簡単にそれぞれの企業が提供するサービスをご紹介します。

Spotify(スポティファイ)

2006年にスウェーデンで創業した音楽のストリーミング配信サービスです。国内外4,000万曲以上の楽曲を聞くことができます。日本でのサービス開始は2016年11月です。

Lyft(リフト)

もともとは2007年にアメリカで創業した長距離ライドシェアを行う企業が、2012年に一般人が自分の車を使って乗車サービスを行うサービス、Lyftを開始しました。現在は、アメリカとカナダでのみサービスを提供しています。

Airbnb(エアビーアンドビー)

2008年にアメリカで創業したこちらは、自らが所有する家や空いている部屋を、借りたい人に提供するマッチングサービスです。日本でのサービス開始は2014年5月です。

WeWork(ウィーワーク)

2010年2月にアメリカで創業し、主に起業家向けのコワーキングスペースを提供するサービスです。アメリカを中心に欧州、アジアなど20か国以上でサービスを展開しています。日本でも2018年2月より銀座、六本木などでサービスを開始予定です。

Spotifyの注目ポイントは?

2018年1月5日、全世界で有料会員数が7,000万人を突破し、2018年上期には株式公開予定ともいわれているSpotifyは、2017年11月、イギリスの調査会社「MIDiA」が発表したサブスクリプション型音楽ストリーミング配信サービスの市場シェアによると、2016年末時点での市場シェアで35%と、2位のApple Musicの15.6%を大きく引き離しています。

日本ではまだそれほどなじみがないとはいえ、GoogleやAmazon、LINEミュージック、AWAなどがサービスを開始しています。

Spotifyの注目ポイントはAIスピーカーとの連携です。これまでスマホを使って個人で聞くのが中心でしたが、Google homeなどのAIスピーカーが登場したことで家族や友人と一緒に音楽を楽しめるようになり、今年は日本でもSpotifyの存在が大きくなっていくことが予測されます。

Lyftの注目ポイントは?

ライドシェアといえばLyftよりも3年早い2009年にサービスを開始し、日本を含め積極的に海外展開を進めるUberのほうが日本では知名度が高いかもしれません。

しかし、Lyftはアメリカ、カナダで2017年には乗客数が前年の倍、3億7,550万回に達する急成長を続けており、さまざまなトラブルで2017年6月に創業者が辞任をしたUberに迫る勢いを保っています。

日本では、道路運送法で自家用車を使って有償で人を送迎することが禁止されているため、現状はLyftが日本に進出してくるかは未知数です。また、タクシー業界の反発も強く、Uberも日本では苦戦を強いられています。

ただし、2020年東京オリンピックに向けて道路運送法が改正されることがあれば、Lyft日本上陸の可能性も高まってきそうです。

Airbnbの注目ポイントは?

世界190カ国以上でサービスを展開しているAirbnb。
民泊というとあまり良いイメージを持たないかたも多いかもしれません。

しかし、2017年4月にAirbnb Japan株式会社が発表した「日本における経済活動レポート」によると、2016年のAirbnbコミュニティによる経済活動は4,061億円で、これは2015年の2,363億円の1.7倍。2016年に日本を訪れた2,400万人のうち370万人がAirbnbのリスティングに宿泊しています。

Airbnbの日本での注目ポイントは、2018年6月に施行される住宅宿泊事業法です。これは、一定のルールのもとに民泊を解禁するようにしたもので、1月18日の毎日新聞のニュースによると、リクルートホールディングスと提携し、同社の不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」に掲載されている賃貸物件の空き室を旅行者に提供するサービスを6月以降に開始するとのことです。

WeWorkの注目ポイントは?

2017年3月にソフトバンクが多額の出資を行ったことで日本でも大きな話題となったWeWorkは、2017年11月時点で世界20か国以上、会員数10万人を抱える企業です。そして、日本でも2018年2月、ついにサービスを開始します。

WeWorkの注目ポイントは、起業家向けに加え、1,000人以上の社員がいるような大企業向けのオフィスソリューション提供を積極的に開始したことです。単なる場所貸しではなく、その企業に合わせたカスタマイズを施すことで、オフィスコストの削減やさまざまな地域でのビジネス展開を可能にします。

新たな価値を提供するSLAWに注目を!

今回ご紹介した「SLAW」は、どれも違うサービスを提供する企業ですが、その根底にあるものは「共有(シェア)」です。

音楽のシェア、車のシェア、宿泊施設のシェア、そしてワーキングスペースのシェアと、これまでは個人、もしくは起業単体で行っていたものを、そのサービスに共鳴するもの同士がシェアすることで、新たな価値を生み出すことに成功しています。今年以降、日本でも「SLAW」から目が離せなくなりそうです。