出版・書店業界の救世主となるか。付録付き雑誌が熱い訳とは?

本記事は、2010年7月15日に掲載された、G-Search sideB記事を再掲載しています。

「あら、SUZY'S ZOO(スージーズー)のポシェットだってカワイイ。」
電車の中でnon-noの中刷り広告をウチの奥さんが目ざとく見つけた。

CMではありませんが、non-noの15・16合併号の特別付録はブーフ(くまの名前?)のミニボストンポーチだそうです。

そういえば、女性誌のブランドとタイアップした付録企画が店頭でよく目に付く気がします。という事で、今回は付録つき雑誌について「G-Search新聞・雑誌記事横断検索」で調べて見る事にしました。

目次

  1. 出版業界の低迷 ~付録つき雑誌誕生は生き残りを掛けた試行錯誤の結果~
  2. 提携側のブランド側にもメリットは大きい
  3. 「日本の流通を駆使すればまだまだ売れる」~宝島 蓮見社長
  4. 「書店でモノを売りたい」~書店も集客効果に期待

出版業界の低迷 ~付録つき雑誌誕生は生き残りを掛けた試行錯誤の結果~

出版界の状況は調べてみるとかなり厳しいのが現状のようです。
09年の書籍・雑誌合計の推定販売金額は1兆9356億円と21年ぶりに2兆円の大台を割り込み、休廃刊雑誌は189点と過去2番目に多く、逆に創復刊点数は135点と前年より42点も減少したそうです。

そんな中で、成功を収めているのが宝島社。

宝島は『sweet』などの女性誌で高品質の付録を付け100万部の発行部数をたたき出しているとのこと。

宝島の成功に当然他社も黙ってはいない。
各誌が豪華付録を競うようになったようです。

集英社発行の「MORE」や、講談社の「WITH」、前出の「non-no」など各社も、ポーチやトートバッグを付録に付けたり。。。

こういった流れは、出版業界の低迷を受け、01年に日本雑誌協会が自主規制を緩和したことがきっかけだそうです。

提携側のブランド側にもメリットは大きい

ブランド側もこういった、出版業界の動きはウェルカムなようです。
大都市の百貨店など限られたエリアでしか店舗を持たないブランド側にとって、全国約1万5千の書店で自社ブランドをアピールできるという利点が一致したという事のようです。

さらに、宝島社の勢いはとまらない。ブランドムックと称される、ムック本を投入。
「ブランドムック」とはファッションブランドの新作カタログやブランド情報ムック本にバックやポシェットのアイテムが付録でついているというもの。

歳がばれますが駄菓子の「ビックワンガム」みたいに、もはやどちらがオマケかわからない感じです。。。

宝島のブランドムック出版のきっかけは、男性誌『smart』で好評だった「エイプ」特集から、スピンアウトしてできたものだそう。
以来、発行点数は150アイテム(2010年7月3日記事時点)にも。

宝島のブランドムックが支持された理由の一つは、実際のブランド店舗よりも価格が安い点だそうです。

本までついて(あれ、逆になっているぞ?)なぜ、低価格化が可能か。
そのカラクリは生産単位にあるようです。ファッション、雑貨業界では通常数万個単位、ブランドムックは数十万個を生産するため、コストを劇的に下げられるとのこと。
それなら確かに、そのブランドが好きな方には購入メリットは大きそうです。

「日本の流通を駆使すればまだまだ売れる」~宝島 蓮見社長

蓮見社長は80年代の米国視察で衝撃を受けたそうです。

「米国で雑誌でも出してやろうという野望を持って行ったがとんでもない。取次機能も流通も未整備。これでは出版物は売れない、手も足も出ない」

日本では当たり前で空気のように思っていた出版流通のレベルの高さを、蓮見氏は米国で強く感じたのだそうです。

低迷したとはいえ、流通網が駆使された書店は全国でまだ1万5000店以上、雑誌を置くコンビニは約4万3000店、全国6万店に張り巡らされた流通販売網を活かさない手はない。というのが蓮見社長の考え。
実際、前出のブランドムックはその書店流通を最も活用しているという。

09年のムック販売ランキングのベスト10の7点を宝島のムックが占め、上位6位まで独占。中でも09年11月に発売した『イヴ・サンローラン』は100万部を売り切ったのだそうです。すごいですね。

「書店でモノを売りたい」~書店も集客効果に期待

ムックシリーズの成功を受け、宝島社は「料理本と調理器具」、「CDとブランド小物」など、出版不況を逆手に取り「従来は取り扱ってもらえなかった商品を、全国の本屋で売っていきたい」とまだまだやる気まんまんのようです。

おいしそうなパウンドケーキ形のパッケージに、レシピ本とシリコン樹脂製型枠、木製スプーンを詰め合わせた世界文化社の「Paris発、パウンド型で50のケーク」。定価は1890円。昨年12月の発売直後から品切れ店が続出し、5刷10万7千部のヒットになったそうです。

こういった付録付きの雑誌を受ける、書店側も本に関心の薄い若い女性を呼び込もうと、ブランドムックを店頭の入り口に並べたり、女性誌の付録をコルクボードに張ってPR「かわいらしい付録が付くことで店内が華やかになった。女性誌は若い女性に、親子で楽しめる商品は、40代以上の男性らの反応がいい」と、出版業界の新たな戦略を歓迎しているようです。

iPadの発売などで、出版業界は電子書籍へ熱い視線を向けつつ、他社の動向をうかがうといった混沌とした状況。

書店としてみれば、ブックオフなどの新古書店や、AMAZONなどのネット書店に押され、厳しい状況が続いています。

そういったなかで、付録付き雑誌は出版社としては、販売部数の維持に、売り場面積の限られた全国の書店では集客にと強く受け入れられている商品といえそうです。

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