女子高生AI「りんな」ってだれ? 仕事や生活をサポートするAI技術をご紹介

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まるで友達のような会話で人気を集め、昨年からネットニュースやSNSを中心に話題となっているのが女子高生AI「りんな」です。りんなをはじめとしたAI技術の進歩には、ディープラーニングという、機械学習と呼ばれるAI技術の発展が背景にあります。気が付くと身近にあるAIの動向を探ってみましょう。

「りんな」とは?チャットボットAIがブームに

「りんな」とは、日本マイクロソフトが開発したチャットボット(人工知能を活用した自動会話プログラム)です。女子高生のAIというキャラクター設定で、2015年7月31日にLINEでネットデビューしました。

AIらしからぬ、女子高生のような言葉づかいとスムーズで楽しい会話や、オセロやしりとりなどのゲームも楽しめることが魅力です。瞬く間に人気を集め、デビューから1カ月後の2015年8月末にはユーザー数が130万人を超え、2017年4月末には560万人を突破しました。

最近では、2017年の7月に、講談社によるアイドルオーディション「ミスiD」のセミファイナリスト(ミスiDの発表は11月3日予定)として残ったほか、7月30日には、AIをテーマとしたラジオの特別番組に初めて「声」で出演するなど、チャットボットを超えた活躍を見せて話題がつきません。

こうした「りんな人気」に着目したローソンが、同社のLINE公式アカウント「あきこちゃん(ローソンクルー♪あきこちゃん)」に「りんな技術」を採用して、2016年9月28日からチャットボット型あきこちゃんの運用を開始するなど、AIを活用したチャットボットサービスが広がり始めています。

りんなを支える技術がディープラーニング(深層学習)と呼ばれるAI(人工知能)の技術です。

AIブームの原動力となるディープラーニング

AIは現在、第3次ブームといわれています。その原動力がディープラーニング(深層学習)という、機械学習と呼ばれる人工知能(AI)技術の一種です。

機械学習は、機械に人間のような経験に基づいた学習をさせる仕組みですが、ディープラーニングによって、大量のデータを高性能なコンピュータで自動的に学習させることができるようになり、これまでの機械学習とは比べ物にならないほど「学習性能」が向上しました。

すでにディープラーニングを活用したAIは身の回りでも多く使われており、アップルの音声アシスタント機能siriや、iPhoneの写真閲覧機能の顔識別にもその技術が活用されています。

2020年のAI市場は1兆円を超える規模に、ビジネス活用例

第3次ブームにより、AI市場も急速に成長する気配を見せています。市場調査大手の富士キメラ総研が2016年11月28日に発表した『2016 人工知能ビジネス総調査』によると、製品、システム開発、サービスを含むAI関連ビジネスの2015年度売上規模は1,500億円と推定。これが2020年度は1兆20億円に拡大すると予測しています。わずか5年間で6.7倍増の見込みです。

こうしたAI技術は、次の利用例をはじめ、多くのビジネスシーンで既に活用されています。

IBM Watson 「人間の知識を拡張」

AIをデータベース検索やマーケティングだけではなく、「人間の知識を拡張するために活用しよう」との動きも活発化しています。その一例が、IBMが開発した「IBM Watson」です。
同社はAIを「人工知能」ではなく「拡張機能」と定義、人間の知識を補強する「コグニティブ・コンピューティング」(最適な解を、コンピュータが過去の経験や知識に基づいて見つけ出すシステム)としてIBM Watsonを開発しています。国内では現在、次のような企業が次のようにカスタマイズして活用しています。

  • あいおいニッセイ同和損害保険:社内照会応答システム
    自然言語処理による社内照会応答システムにより、営業社員の社内照会業務の効率化・利便性向上を実現
  • 大塚デジタルヘルス:MENTAT(メンタット)
    電子カルテに記載された膨大なデータの中から、数値化しにくい症状や病歴を自動的に抽出・分析して患者個別の医療データを有効活用できるシステム。電子カルテの新しい活用方法として注目されている
  • フォーラムエンジニアリング:コグニティブ人材マッチングシステム
    技術系人材サービス大手の同社は、IBM Watsonと就職先を探している理工系学生とのチャットで、学生の専攻、部活・アルバイト経験、趣味などを分析し、その学生に適した職種や企業を提案するエンジニア職人材マッチングシステムを運用

パルコ「スマホアプリによりレコメンド機能を強化」

ファッションビル運営のパルコは、CRM(顧客関係管理)ツールとしてマーケティングに活用してきたスマホアプリの「POCKET PARCO」にAIを搭載しました。これにより、ユーザの購買・来店履歴、クリップ履歴、記事閲覧履歴などをAIが自動的に分析してユーザ個別の好みを学習し、ユーザ個別の属性に合わせた「オススメ情報」を提供しています。すなわち、AIによりスマホアプリでも「1対1の接客サービス」が可能になったということです。

FRONTEO「弁護士の専門的な判断をサポート」

「大量のデータ分析により、これまで人間が気づけなかった情報やアイディアを得たい」こうしたニーズにも、AIが活用されています。リスクコンサルティング会社FRONTEOが開発したKIBITは、国際訴訟の分野で「弁護士の専門的な判断をサポートする」ために開発されたAIです。
言葉では伝えることができない人間の機微(暗黙知、判断の仕組み、感覚)をAIが理解し、弁護士に代わって証拠となる資料の選別・抽出を行い、弁護士の資料調査の労力と時間を削減します。また同様の技術を使い、営業やシステム開発のシーンでは、マネージャーの判断に役立つデータをAI技術で瞬時に抽出できるそうです。

このように、AIはビジネスの現場にも着実に浸透し始めています。これからは、自社でAIをどのように活用するかが、同業他社との差別化、業績が停滞したままか上昇かなどの分かれ目になる時代になるかも知れません。

G-Searchでもっとサガス

日本では女子高生AI「りんな」が人気ですが、海外ではこうしたAI活用はあるのでしょうか?
G-Searchの新聞記事データベースで、海外のチャットボット動向を調べてみると、中国とアメリカにおける事例が紹介されていました。

中国では、米マイクロソフトが「Xiaoice(小冰)(シャオアイス)」を展開しているそうです。りんなの開発にも参考とされたチャットボットで、「りんなの姉」ともいわれています。利用者が4,000万人を超える爆発的ブームとなっており、その人気ぶりや将来の展望について新聞記事に紹介されていました。

米マイクロソフトが中国で公開している女性の対話AI「小冰(Xiaoice)」に対し、多くの男性が会話に夢中になり、「愛している」などの言葉を投げかけたという。

日経コンピュータ 2017年1月5日記事

マイクロソフトリサーチアジアの洪小文所長は、「競合他社のチャットボットは会話の回数が平均1・5~2往復なのに対し、シャオアイスは23往復。チューリングテストは優にクリアしたと考えている」。(中略)

「りんなはすでに160万ユーザー。シャオアイスと合わせると4000万ユーザー。今はエモーショナルなチャットの相手でしかないが、もっと深掘りできる。いずれは一緒にネット上で買い物をしたりする『ECサイトを手伝ってくれる存在』になれると思っている」(洪所長)。

週刊東洋経済 2015年12月5日記事

一方、マイクロソフトの膝元・米国では米国版チャットボット「Tay」が2016年3月23日にネットデビュー。1日で9万6000回以上のツイートをするなど、サービス開始直後から人気を集めました。ところが、2日後の3月25日に突然サービスが休止されました。記事にはその理由と、りんなに寄せる期待が書かれていました。

(前略)人種差別などの問題発言を連発し始めたのだ。その結果、わずか1日でサービス停止に追い込まれた。原因は、学習プログラムの脆弱性と、不規則発言を教えた悪意あるユーザーにあった。
もっとも、チャットボットは将来有望なだけに、この失敗を受けてもなお、マイクロソフトの幹部は日本のりんなに期待を寄せる。 「今、日本で390万人がりんなを口説いたりして遊んでいる。日本では、チャットボットは敵じゃない」。女子高生という設定も、人間の良心に働き掛ける狙いがあるという。

週刊ダイヤモンド 2016年8月27日記事より

※このコーナーでは「G-Searchデータベースサービス」の新聞・雑誌記事検索を使い情報を探しました。

参考

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