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事例から見る、コンビニ・スーパー各社が進める事業多角化の狙い

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近年、国内の大手コンビニエンスストアやスーパーの間で、新事業や新サービスを展開する動きが広がっています。コンビニ・スーパーの店舗経営と異業種サービスを組み合わせて新たな付加価値を創出し、店舗への集客率を高めたいという店側の狙いによるものです。

本記事では、事業多角化に乗り出すコンビニエンスストアやスーパーの事例として、セブン-イレブンとファミリーマート、成城石井を取り上げて、取り組みの具体的な事例と狙いについて紹介していきます。

手軽に利用できるシェアサイクルサービス:セブン-イレブンの事例

セブン-イレブンは2017年11月21日、ソフトバンクグループの系列会社が運営する「ハローサイクリング」と連携し、埼玉県さいたま市の店舗で自転車のシェアリングサービス(シェアサイクル)を開始しました。 店舗を自転車の貸し出しや返却の拠点にすることによって、店に立ち寄り買い物をする利用客を増やそうという狙いがあります。

セブン-イレブンは今後、サービス対応店舗を拡大していく予定で、2018年度末までに首都圏などの1,000店に5,000台の自転車を設置する計画を打ち出しています。

利用者は会員登録を済ませた後、スマートフォンから付近の駐輪場を検索して利用予約することで、好きな時に自転車を借りることができます。

「PASMO」などの交通系ICカードを登録しておけば、自転車の解錠機にICカードをかざすだけで、すぐに自転車を借りることができます。利用料の決済は事前に登録したクレジットカードで実行できるため手間がかからず、自転車は借りた店舗とは異なる店舗に返却できるなど、利用者の利便性を向上させる数々の工夫を取り入れたサービスとなっています。

24時間利用できるフィットネスジムとコインランドリー:ファミリーマートの事例

2017年11月、ファミリーマートは既存の店舗を活用した新事業を相次いで発表しました。

コインランドリー併設店

ひとつは、コインランドリー事業です。2018年春にコインランドリー併設店を開店した後、19年度末までに駐車場が設置されているコンビニを中心に全国で500店の展開を計画しています。

併設店には洗濯機と乾燥機が合わせて15台設置され、利用客はこれらを24時間いつでも使えるようになります。料金設定は、衣服などの洗濯が1回400円程度、また布団を洗濯、乾燥する場合は4枚で1,500円程度になるとのことで、利用客はクリーニング代を安く抑えることができます。

洗濯にあまり時間をかけられない共働き家庭が増加したことで、近年、コインランドリーの店舗数は増加傾向にあります。また、コインランドリーの利用者はリピーター率も高く、洗濯や乾燥の待ち時間にファミリーマートで買い物をする効果も期待できます。ファミリーマートはこうした客層を新たな固定客として取り込もうとしているのです。

フィットネス事業「Fit&GO」

もうひとつは、フィットネス事業です。24時間利用できるフィットネスジム「Fit&GO」をコンビニに併設することで、健康に気を使う20代から40代の男女を店に呼び込もうとしています。

「Fit&GO」は入会金不要で月額7,900円を払えば、ランニングマシンなどのトレーニングマシンのほか、シャワールームなども使い放題となる予定です。これらの設備は会社帰りなど、自分の好きな時間帯にいつでも利用できます。

また、「Fit&GO」が併設されている店舗では、サプリメントなどの健康食品やタオル、ボディーソープなどのフィットネスに関係した商品を多く取り揃えるようにするなど、ラインナップの拡充方法も工夫していく方針のようです。ファミリーマートは2023年2月末までに、ジムの併設店を全国で300店規模に拡大する予定です。

店の食材を使った料理を提供する飲食スペース:成城石井の事例

成城石井は2017年9月29日に開店した「トリエ京王調布店」で、グローサラント型の飲食スペース「SEIJO ISHII STYLE DELI&CAFE」を設置しました。

グローサラントとは、レストランのような食事を食料品店で提供するというサービス形態のことで、アメリカなど海外で高い注目を集めています。

グローサラントで提供される料理には、実際に店頭で販売されている食材が使われます。グローサラントの利用者が料理を気に入った場合、食後に食料品売場に立ち寄ってその食材を購入する、という流れを生むことが成城石井の狙いにはあるようです。

SEIJO ISHII STYLE DELI&CAFEは現在、「フレッシュアボカドチーズバーガー」や「成城石井自家製ベーコンと三重県産赤卵のカルボナーラ」などのメニューを提供中です。これらのメニューには、利用客が家庭でも調理できるようにするため、料理を客に提供する際にシェフが監修したレシピカードを添えるといった工夫が取り入れられています。

また、このほかにも消費者がメニューに使用している食材を食料品売場で見つけやすくするため、商品の値札部分にわかりやすい表示を記載するなど、売り上げ増加を目指した工夫が随所に見られます。

台頭するインターネット通販サイトへの対抗策になるか?

特にコンビニ各社が新サービスを打ち出す背景には、店舗数が全国で約5万5000店に増えた「飽和状態」といわれる市場への危機感があります。また、コンビニ同士だけではなく、ネット通販の台頭により「便利」というコンビニの強みも薄れつつあります。

日本フランチャイズチェーン協会がまとめた2017年12月時点の情報では、業界全体の店舗数は、前年比3.2%増の成長をしていますが、全国のコンビニ来店客数(既存店ベース)は、昨年12月まで22カ月連続で、前年同期比マイナスとなりました。勝ち組とされているセブン-イレブンでさえ、既存店売上の連続増収がストップしており、客数が減る中、各社がどうやって成長率を上げていくかという課題に直面していることが相次ぐ多角化の背景としてあります。

各社斬新なサービスを次々と打ち出していますが、コンビニに向いた業種なのか、コスト増になるかもしれないなど、成果を生むか未知数です。今後、コンビニやスーパー各社の取組みがどのように変わっていくか目が離せません。

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